論語の話  

勧学堂論語普及会    

 

 2 孔子の生きた時代

 

 
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年を重ねると東洋の学に興味を覚えるという人も多いと思います。東洋の学の中で、一番長く広く読まれているのが論語です。論語は孔子の言動を弟子達が記録したものとされています。混乱の時代を、貧困と苦しみの中に人への信頼を失うことなく生きた孔子は、まさに現代を生きる私たちに貴重な生き方を示してくれるます。その孔子の考えを理解するには「論語」そのものを読むのが一番です。ここではその補足のお話をいたします。

                            勧学堂論語普及会 輿石豊伸

 

2 孔子の生きた時代ー論語の生まれた時代

 孔子(姓:孔、名:丘、字:仲尼)の生きた時代は今から約2550年前、中国の歴史区分では「春秋時代」と呼ばれる時代です。最近の研究で分かってきたことは、現在の四川(スーチョワン)省に夏王朝という王朝があり、やがて北の殷(いん)王朝にとって変わられます。殷は統制ある国家運営を行いますが、紂(ちゅう)王があまりにも暴君であったため、周の文王・武王によって倒されます。そして周王朝ができます。周は天下を統一し、人の規範を定め安定した国家を築きます。孔子はこの周の建てた秩序体系を受け継ぎ発展させていきます。

 周はもともと諸侯(日本でいえば江戸時代の大名に近いものです)の連合としてなりたっていましたが、次第に力をつけた有力諸侯は、周の元で実質独立した形をとるようになり、こうした諸侯が天下を割拠し、時には侵略し土地を奪うといった状況がうまれます。これが春秋時代と呼ばれる時代で、群雄割拠の時代でした。まだ名目だけとはいえ、周王朝の元で統一が保たれますが、やがて諸侯はさらに分裂し、国と国とが激しく対立するようになります。戦国時代とよばれる時代へと続きます。

 次ぎの地図は春秋時代の中国の地図です。(『新字源』角川書店刊付録より)

 

 

 孔子は上地図の「魯」と記された国の出身ですが、仁ある政治を求めて、各地を歩きます。

                               2008.2.8改 勧学堂論語普及会 輿石豊伸